【データ】
訪問年月日
2010年7月某日から1泊
宿泊プラン
パークデラックスダブル
ホテルHPから予約 一扇プラン(15時チェックイン、11時チェックアウト ホテル内レストラン「一扇」での夕・朝食付き)
料 金
大人2名で56,000円(プラン料金のみ。夕食時のドリンク代は忘却)
ホテルHP【宿泊記録】
○瀬戸内国際芸術祭 大学時代に現代アートをかじったので元々興味があった直島。しかし、オシャレなイメージが男ひとり旅の足を遠ざけてきたのもまた事実でした。妻と付き合いだして間もなく、美術館にも付き合ってくれるのが分かってから、絶対一緒に直島に行きたいと決意。そして、ちょうど第1回開催のお知らせが流れた瀬戸内国際芸術祭。お互いの実家もほど近く、夏に帰省するついでに直島を初訪問しようと計画が固まったのでありました。
○高嶺の花 「美術館の中にあるホテル」
たしか大学の授業でこんな紹介をされたベネッセハウス。なにかの折に「そういえばベネッセハウスってどのくらいするとこなんだろう」と調べてみると、たしかそのときには3万とかって書いてあったように記憶しています。おいおい、これは高嶺の花だなあ…と当時の僕はあきらめ、また、別で先に行ってきた妹も日帰りだったため、なんとなく直島は日帰りで行くところ、というイメージをもっていました。
でも、せっかくいいとこに行くんだから、できたらベネッセハウスに泊まって
直島を満喫したいよなあ…そうやって社会人3年目の目でベネッセハウスの宿泊を調べてみると、
―――ちょっと高いけど、出せなくはない!
と、思えました。今はないのかもしれませんが、ハイシーズン等の期間限定で1泊2食付きのちょっと割安なプランがちょうどあったというのもいい具合でした(普通は泊食分離型で室料+食事になる)。
そうと決まればさっそく予約を取るため始動。さすがの芸術祭中ということもあり、なかなかの埋まり具合でしたが、下から2番目に安かったパークデラックスダブルの部屋を確保。空き状況的に仕方なかった面もありますが、地中美術館などの直島のメイン施設が休館日である月曜宿泊にしたのは、結果的に大正解でした。フェリー乗り場のおじさんにもこのスケジューリングはほめてもらえました。火曜の朝から直島にいられて、貴重な日中を移動に費やさなくていいというのがその理由です。
○初のリゾート体験 さて、実家での行事を終え、岡山で妻と合流します。さあ、宇野線に乗って、宇野港からフェリーで…と思われるでしょうが、初回は違いました。せっかくの芸術祭なんだから他の島にも行こう、ということで、まずマリンライナーに乗って瀬戸大橋を渡り、高松駅を目指します。高松駅から高松港は歩いて5分。宇野駅から宇野港よりは近いかな。せっかくの芸術祭だから他の島も見ていこうよ、ということで、鬼ケ島と言われる女木島、男木島を経由して直島に上陸しました。
直島に上陸するとそこには海の駅なおしまが鎮座しています。ここが駅なのでもちろん船のきっぷも帰るんですが、簡単な飲食もできます。もうだいぶ経ってからこれを書いてますので、何を食べたか記憶があやふやですが、うどんかなにかを食べたような。あと、島内の地図や時刻表もだいたいはここで揃います。公共交通機関をガンガン使って自力でガンガン見て回るという人には強い味方になってくれる施設です。
一方、ベネッセハウス宿泊者は専用の送迎バスがあります。町営バスを駆使してプラン立てて回るのもひとつの楽しみ方ですが、ベネッセハウス宿泊専用送迎バスに乗れば、乗り換えなしでベネッセハウスまで連れて行ってくれます。事前に調べているとき、宮浦港から南側を回れば歩いても行けるんじゃないか?なんて話をしてましたが、この日の暑さはそれを検証する気さえ許さず。肌が文字どおり泡立つほどの猛暑日だったのです。おとなしく、宿泊者専用バスに乗り込む我々。15分ほど走ると、ベネッセの敷地内に入ることを示す表示が現れます。
「これがリゾートかあ」
海が近い。そして、この敷地内に来る人のことだけを考えて整備されているエリアであることを即実感。リゾートに来たんだなあ、と初めて実感を伴ってリゾートを認識したのでありました。
○予想外のリフレッシュ感 ベネッセハウスに初めて泊まったとき、一番感じたのは、「瀬戸内海に浮かぶこんな小島にこんなにちゃんとしたホテルがあるんだ!」ということでした。もちろん期待はしていましたが、そもそも美術館の中にあるホテル、がコンセプトの施設。重点はアートのほうに置かれていて、サービスや宿としての質は二の次なんじゃないのかな、と少々の不安があったのも事実。でもその不安は着いてすぐに一掃されました。なにせフロントの対応がスマート。まさか地元に帰ってきてこんな衝撃を受けられるなんて。
宿泊したのはパーク棟。海から一番近い宿泊棟です。長い客室廊下がいい感じで気分を盛り上げてくれますが、部屋に入った瞬間の素晴らしさはいまだに覚えています。建物は木の造りでコテージのようにも感じられます。窓を開けてテラスに出ればもう潮風。海までの間に広がる芝生や点在するアート作品。それらの間を自由に散策する人たち。着いたのは昼下がりから夕方にさしかかるくらいの時間帯でした。人間、初体験はとかく印象に残るものですが、なんかもう夫婦ともども感激してしまって、いっぺんに好きになってしまいました。
チェックイン後もいろいろベネッセハウス内を散策しました。いまや最も好きなラウンジのひとつ、パークラウンジではウェルカムシャンパンをいただき(最後の客だったのであまりを余分にもう1杯もらってしまいました)、若干酔っぱらってそのまま夕食のためにミュージアムという別の宿泊棟に移動。車ならすぐなのに10分くらい波打ち際から道に出ててくてくふらふらと歩いていきました。ミュージアム棟の和食レストランでの食事。食後はベネッセハウスミュージアムをじっくり鑑賞。普通の美術館なら開いていないような夜に、しかもほろ酔い&おなかいっぱいでアート鑑賞ができるなんて。空が開いている場所に設置してある「天秘」という巨大な石の作品は、その上に寝転がれる体験型作品ですが、妻はいまだにそのとき寝転がったことを楽しかったと言い、行くたびに寝転ぶことを所望しています。
残念ながらベネッセハウスをチェックアウトしていざ帰ろうと帰途についたその時、「あ、なんかリフレッシュしたんだな」とふと実感した自分がいました。
ちょうどそのころ、自分がやっていた仕事がすごくイヤで、とにかく職場に行きたくない、その仕事したくない、という気持ちでいっぱいでした。休暇もできるだけ気分転換しなきゃとなかば仕事を忘れることに対しての強迫観念があったといってもいいかもしれません。それが、ふと気づくと「まあしょうがないから明日から仕事がんばるか」という気になっていたんですね。休暇を終えるとき、こんな気持ちで終えたことはここ最近なかった。それだけに記憶に残りました。
今考えれば、船で渡るという条件も、常に海が見えるというロケーションも、いろんな過ごし方を支えるだけの設備の整い方も、たぶん僕らの好みの宿だったんでしょう。でも、このときまだそこまで分析できてはいませんでした。ただ、観光地の近くで一泊するだけだった宿について、「自分たちに合うものがある」と考えるきっかけになり、かつ、そのまず第一候補になりそうな宿であることを予感はしていたと思います。「また来ようね」という言葉とは裏腹に、確実に近いうちの再訪をどこかで決心していたなと思う、そんな初訪問だったのでした。
②も「近いうち」いずれ。
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