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いい宿求めてウロウロします。してます。

サンライズ出雲・瀬戸

【データ】
訪問年月日 2013年11月某日から1泊
部屋タイプ サンライズ瀬戸シングル【禁煙ルーム】
料   金 大人1名で10,500円(特急券3,150+寝台券7,350)
参考HP

【宿泊記録】

11月某日、夜の9時半ごろ。僕らは東京駅のとあるホームで電車を待っておりました。首都圏の在来線なら別に珍しくはないこの時間、僕らがいるのは東海道線のホームです。もちろん、帰宅のための電車を待っているのではありません。僕らが待っていたのは…

サンライズ出雲、です。

そう、ついにサンライズに乗れる日が来たのです。正確には出雲ではなく、サンライズ瀬戸のほうですが、別に岡山までは一緒に行くわけですから変わりはありません。ホームにはだんだんちらほらと乗客と思われる人々が集結し始めました。みんな思い思いの装備でこの夜行特急に臨むようです。それでは、少し時間を戻して、サンライズのきっぷをとる時の話から始めることにいたしましょう。


「その存在」に気づいたのは(認識したのは)行くあてもなくもらってきたJTBのパンフレットでした。妻が「サンライズ出雲っていう夜行の電車に乗ってみたい」と言い出したのです。妻よりは電車に詳しい僕はもちろん知っていましたが、妻としてはその存在になかなか心奪われた様子。その場はそれだけの話で終わったのですが、僕の頭の中にもなんとなく、サンライズの存在が残ったのでありました。

一方、11月の下旬にはだいたい毎年帰郷することにしています。今年もその習慣は健在で、実家泊まりに合わせてベネッセハウスへの宿泊も組み合わせた予定にしていたのでした。というわけで、もともと金曜~火曜までは仕事もお休み。そこでふと浮かんだのが、金曜の朝出発ではなく、木曜の夜出発のプランだったのです。

もしこれが、休前日の夜であれば現実的には考えなかったでしょうが、金曜は休暇にしているため、木曜夜は休前日でもなんでもありません。ただの平日夜です。サンライズのきっぷ確保はなかなか厳しいと聞いてはいましたが、まだ平日夜なら戦える見込みもあるのでは?そう考えた僕らは現実的なプランとして、「木曜出発のサンライズで帰郷」を検討し始めたのでした。

まずは、きっぷの確保方法です。というか、これ以外に検討するものはありません。1日に1本しかない電車ですし、悩むとしたらどの席にするかということぐらいです。

新幹線みたいに、「えきねっと」で事前申し込みができればいいなと思って、まずはその可能性を探りにかかります。これは結果的には×。「えきねっと」ではサンライズのきっぷは対象外で、窓口で申し込むしかない旨書かれています。
次はそのほかのサイトで事前申し込みを受け付けていないかどうかの検討です。これも結果的には×。ちょっと前までは、某大手旅行代理店の協力店(?)のようなところで、きっぷ確保の請け負いみたいなことをやっていたようなのですが、近年のサンライズ人気で予約が殺到したためか、すでに申し込み受付をしていないようでした。これはたぶんネットで検索すればすぐ分かると思います。
そして最後の砦はそれこそリアルの旅行代理店。最寄りのJTBに行って少し聞いてみましたが、きっぷのみの事前申し込みは受け付けていないとのこと。サンライズツイン(2人用客室)は特に人気で、「サンライズで行く」というふうに銘打ったプランで申し込んでも取れるかどうかというもはや伝説的状況のようで、すごすごと退散したのでありました。まあ代理店にとってはきっぷのみの販売は利幅が薄くて、極力受けたくないという事情もあるようです。
その他にも、超正攻法ということでみどりの窓口が開く時間に一番で飛び込み、窓口の人になんとか頼み込んでなるべく素早い作業をお願いするという方法がネットでいくつか紹介されていました。成功例もないことはないという感じのようですが、そこまで押し強くできる自信がないのでこれは断念。もっと現実的な方法はないだろうかということで、違う戦略を探り始めました。

違う戦略とは何か。それは、どの席なら許容できるのかということです。
サンライズツインでないといけないのならもうプランに申し込むしかない。サンライズの瀬戸じゃなくて出雲じゃないと意味がない、という事情があるなら、それに合わせた準備をする必要があります。逆に乗れればいいというなら、寝台車扱いではない「ノビノビ座席」という席もあります。さあ、僕らの希望はなんなのか。
まず、サンライズ出雲でないといけないかどうか。僕らはどうせ岡山で下車するので瀬戸でもなんら問題なし。次に、ツインでないといけないかどうか。2人個室のほうが望ましいのは望ましい。でも、サンライズツインじゃないとダメというほどではありません。他に2人個室で過ごせる席はないのか。すると、1人分は跳ね上げ式ベッドにはなりますが、一応、シングルツインという部屋があるそうな。最悪、夫婦別々の個室というのもある意味おもしろいかもね、ということで、ゆったりしたひとり部屋のシングルも候補に入りました。一方、立ち上がれないほど狭そうなソロとか、若干の仕切りがある雑魚寝といった体のノビノビ座席はまあ候補からは外れるよねということでだいたいの方針が決定。情報収集をすべてネットに頼るのもなんですが、サンライズツイン以外の席は休前日とかでなければ、意外に空いているという情報もありました。ということで、きっぷの発売日をなんとかお休みにし、2人で買いに行くことに。行く時間帯は、ネット情報を鵜呑みにして特に慌てず急がず、のんびりお昼ぐらいに行ってみることにしました。

そして迎えたきっぷ発売日。実は先日宿泊記を書いたフォレスト・イン昭和館をチェックアウトしたあとなのですが、立川駅のびゅうぷらざへ殴り込み、じゃない、忍び込み、でもない、申し込みに行ったのでありました。

窓口での申し込みというのは一定の勇気を必要とする気がします。まあ、受ける側もイヤでしょうが、お願いする側としても素朴な申し出が業界的にはタブーみたいなことがないかと戦々恐々とすることも。特に、今回のサンライズの申し込みみたいに初めてで勝手が分からないものを申し込むのはなかなか不安なものです。窓口のおねーさんに「昼にのんびりきやがって、サンライズが残ってるわけねーだろ」みたいな顔されたら結構へこむと思います。

しかし、不安だからといって口にしないわけにもいきません。おそるおそる希望の日と希望の席を口にすると、おねーさんは若干顔色を変えて店の奥へと消えていきました。結局、われわれの第一希望は、シングルツイン、第二希望がシングル×2、ということで、まあそれがダメならソロとかでもしょうがないかなという感じでした。返ってきたおねーさんが告げたところによると、サンライズ出雲は空きなし。サンライズ瀬戸のシングルツインは喫煙席なら1つ空き、シングル以下は空きありとのこと。僕らは2人とも喫煙しませんし、おねーさんも「気になる人は結構ツライと思います」とのことだったので、おとなしくシングル×2部屋のプランにしました。もう少し早めに来ていたらシングルツインが空いていたのかなあとも思ったので、次にとるときは試みてみようと思います。ともあれ、サンライズ瀬戸のシングル、特急券+寝台券を入手できました。これで事前準備は完了。あとは、帰りの新幹線や少しでも安くするための往復乗車券を別途用意すればもう乗るばかりです。なににつけても、申し込みが実るというのはうれしいことであります。


さて、ようやく冒頭に戻って乗車当日。
仕事後、まっすぐ帰宅して入浴等を済ませておきます。サンライズの中にシャワールームはあるそうですが、別にそこまでして入らなくても事前に入っておけばよいでしょうということで。出発は22時ですが、せっかくなので早めに東京駅に向かいます。この日のちょっと前にはグランルーフがオープンし、ますますおもしろそうになった東京駅を満喫しない手はありません。おいしいごはんも食べてから乗車したいところ。そして、サンライズには車内販売がないため、なにを買い込んで乗り込むかというのも楽しみのひとつです。

というわけで、19時前には東京駅に到着。さすが、平日も東京駅はごったがえしております。楽しみにしていた晩ご飯は迷った挙げ句、黒塀横町へ。「黄木」という米沢牛を食べさせてくれるお店にしました。なんとなく出発前で浮ついているのがよくわかります。

芋煮やサイコロステーキなど、アラカルトにごはんセットなんかをつけて庶民的にやっていると、隣の豪気なおじさま二人が米沢牛ステーキを恵んでくださいました。「年取ってくるとあまり食べられなくてさあ」というのは言い訳で、見るに見かねたのかもしれません。そんなに欲しそうな顔をしていた覚えはないのですが(笑)。そのあと、ガーリックライスを食べていると、逆隣の方から「それ、おいしそうですね、なんですか?」と尋ねられたり、親切なお店の方もいたりとなかなかのコミュニケーション日和。幸先のよいスタートです。

その後は実家のおみやげに人気のかりんとうを買い込み、あとは車内で食べる用の食料。お菓子をかなり買いました。ほかにはミニクロワッサン、アップルパイ。ワインとかどうする?と言ってたのですが、まあいいかと結局やめました。そしてようやく21時半ごろになったのでホームへ。それなりに大荷物なので、早く来ても思ったよりウロウロできなかったのは教訓です。


さあ、電車到着のアナウンスが入ります。それまでもちらほら写真を撮っていた周囲の人々(僕含む)ですが、アナウンスが入ると一斉に慌ただしさを増します。だいたい、ホームの先頭のほうにみんな走っていきます。乗客総撮り鉄化現象です。僕もなんとなく中途半端な位置でケータイカメラを構えてみました。おっ、きたぞきたぞ…カシャ、…あっ…ということで見事に撮影失敗。結局まともに撮影したのは電車が止まってからのことでした。

それにしてもみんなモチベーションがハンパではありません。別に指定の個室を事前に取っている人ばかりなんだから、そんなに急いで乗らなくてもという感じですが、みんな我先にと電車に殺到します。我々ものんびり車内にプリーズカムイン。おお、これが聞きしに勝るサンライズですか。暖色系の照明で照らされる木の感じがよいです。通路はものすごくせまくて人によってはすれ違い不可という感じですが、電車というよりは船旅、船室という趣で、旅への期待を増幅する雰囲気です。

客室に入ると…おおー、窓がでかい!これはよいです。今回は幸運にも2階客室だったので、自分から身を乗り出さない限りは車外からのぞきこまれることはありません。まず荷物を置いて、鍵のかけ方を学習し、出発までの間はホームで写真撮影をしておりました。

車内に戻って僕の部屋のほうで妻と合流。サンライズはいよいよ出発のときを迎えます。少しずつ動き出す電車。ホームからサンライズを見送る人がまだいます。写真だけ撮りにきたのですね。その人たちの姿もだんだん後ろに流れていき、ついに出発と相成りました。

車掌さんによる検札が終わるまではしばらく1人で過ごします(結局検札は1時間後くらいにきました)。うーん、このワクワク感は一体なんでしょう。今まで乗った乗り物でこれほどテンションのあがったものがあったでしょうか。いや、ない。漢文で言うところの反語です。強めの意味です。とにかくなかったということです。これはまさに特別な列車だと思ったのでした。

個室の中も全然狭くありません。このぴったりひとり用というサイズもワクワク感を増幅する舞台装置に思えてきます。まず、立ち上がれます。まあものすごい長身だったら頭を屈める必要があるでしょうが、165くらいの僕は大丈夫。ものすごく大荷物でなければ荷物を置くスペースに困ることもありません。ボストン1つとおみやげ何袋かくらいなら楽に置けます。大きな窓はベッドに上がって窓の方を向けばこれ以上ないアングルで外の景色が見られます。高さ的には、ホームにいる人がふと目線を上げる高さより若干上くらい。サンライズはたまに途中駅で停車するのですが、姿勢を低くしてちょっとだけ頭をのぞかせるくらいで、外の人と目を合わせずに外が見られます。大船駅とかではそんな感じで外を観察してました。まあ、目立ちたい方は普通に座ってみていれば、みんなの注目の的間違いありません。ホームにいる人たちも「これ、なんの電車だろう?」とそもそも不思議に思っているのです。

そのうち、車掌さんが検札にやってきます。初期設定では暖房を入れてないので、寒くないように適宜入れてくださいとこれは温かいお言葉。こんなハートフルな検札、新幹線では絶対あり得ません。そういえばと思って暖房器具に目をやると、3段階のツマミ(「切」除く)で調節できるようになっています。たしかに窓が大きいということは、冷気も受容しやすいということ。僕はずっと「1」にしていました。暖かい空気は足下から出てきます。

検札が終わってから妻がやってきました。もうしばらく停車駅はなく、外は真っ暗。すると妻が、室内の電気を全部消すと星が見えるというアイデアを披露。やってみると、たしかに星が見える!反射する光がないので外もよく見えるようになりました。これこそ、自由の利く個室ならではの試み。なかなかナイスアイデアでした。そのあとは買い込んできたお菓子とかをつまんだりしつつしばし二人でぼんやり。新幹線とは通るルートが若干違うため、熱海あたりでたっぷり海が見られたのには感動しました。普通の東海道線は眺めのよい線だったのですね。それにしても、案の定、張り切って買い込んだ食料は結果そんなに食べませんでした。結局、実家に帰ってからのおやつと消えました。ま、だいたいこんなもんです。

そろそろ寝る準備を、と歯磨きをしていると熱海に到着。一応ドアが開くのでホームを覗いてみましたが、これまた見事に人っ子ひとりいません。これもなかなか見られる景色じゃないよなあ…と感動。そんなこんなで23時半ごろには就寝したのでありました。ちなみにサンライズの個室にはパジャマのようなものが備えてありますが、僕は愛用のユニクロフリース部屋着を。冬は特に寒くない格好で寝るのがよいと思います。


朝は自分のケータイのアラームで5時半起床。6時24分に岡山着なのでまだ1時間くらいはサンライズを楽しめます。外は意外にもまだ全然暗く、外の景色が楽しめるほどではありませんが、妻のアイデアを参考に例によって室内灯は消灯したままぼんやり外を眺めていました。6時くらいになると一度車内アナウンスが流れます。これって寝過ごす人とかいないのかなあとか思いつつ、出る準備を始めます。早めに準備して出るだけにしておけば安心です。

そうこうしているうちに僕らが下車する岡山に到着。名残惜しくも降りるほかありません。後ろ髪ひかれつつ、岡山に降り立ったのでありました。
さて、総括ですが、サンライズの旅のネックは、「寝ないわけにいかない」という点。それを考えると、実際に起きて旅を楽しめる時間は正味3~4時間程度。これを割に合うと考えるか、合わないと考えるかでサンライズへの評価が決まると思われます。僕は、「割に合う」と判断します。この正味体験時間の短さは逆に超贅沢。そして、旅情という点でこれに勝る宿泊施設はありません。ホテル等では到底体感不可能なレベルであるといえましょう。いつかサンライズツインにも乗ってみたいですが、シングルでもいいからまた乗りたいなあ。そして、他の夜行特急はどうなのかなあ…と想像と期待、欲求は高まるのでした。

ちなみに、普通の電車での読書とはちょっと勝手が違う気がします。どっちかというと車の中で本を読むのに近いかもしれません。僕は酔いそうだったのでやめました。酔いやすい人はご注意あれ。というより、本を読むにはもったいない空間です。ま、それも含めて「あえて」をやるのにふさわしい空間なのでした。逆行こそ贅沢です。


【次回宿泊に向けて】
・食料はもう少し量を厳選して持ち込む(でも結局無理な気もする)
・次はラウンジにも行ってみたい。
・もっと写真を撮りたい。
・いつかはやはりサンライズツインかつ出雲まで。


写真はこちらです。

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