2002年4月発行の新書である。
ホテル情報なんてほんとに時の流れは速いもので、今から10年前なんて隔世の感すらある。なんせ、この本、今やどこの新刊書店を探しても棚にないのだ。近所の図書館の地下書庫からようやく出てきた(笑)。だって、ハイアットリージェンシー東京がまだセンチュリーハイアット東京で、ウインザーホテル洞爺が閉鎖中なんだもの。
本書のコンセプトは、表紙裏にあるように「ひとりの客として、取材記者として二十数年間ホテルを見続けてきた著者が、『超高層』『リゾート』『バー』『寛ぎ』『伝統』などをキーワードに厳選した『ベスト・オブ・ベスト』のホテル。」とのことである。読んだ感じの印象としては、選び抜いたというよりは幅広く紹介した本という感じ。これから宿泊する際の参考になるかどうかはともかく、そのホテルの来歴などを知るにはいい本だと思う。また、今から10年前の本ではあるけれど、今ではすっかりおなじみになったエグゼクティブフロア(クラブフロア)が、ぽつぽつこのころから出始めていたとは興味深い。
ホテル特集の記事でいつも不満に思うのは、文章の分量が少ないことである。
写真などのビジュアル面や時代性を反映しやすいという意味では新書は雑誌に劣るが、ある程度の分量の文章が読める点でまだまだ貴重である。本書もその貴重な1冊のうちである。
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